襖紙についてFusuma column

襖の構造や種類Structure and type

襖は、昔は「障子」という言葉が広い意味で用いられていたため、「襖障子」と呼ばれていたそうです。現在では、障子と襖は別のものとして区別され、襖は部屋の間仕切や押入れなど、実用とインテリアを兼ねた建具として使われています。

襖は、上貼り、下貼り、引手、縁、骨などで構成され、最近ではその材質もデザインもさまざまです。

襖のいろいろな呼び方

襖は、その種類や使われ方で呼び方が変ります。
サイズ、開閉様式、用途、縁の太さ、縁の取り付け方法、変わり襖、規格品・特注品などによって、いろいろな名称があります。

サイズによる名称

五七(ごしち) 高さが5尺7寸のもの
五八(ごはち) 高さが5尺8寸のもの
中間(ちゅうま) 高さが3尺以上5尺くらいまでのもの
半襖(はんぶすま) 高さが2尺以上3尺くらいまでのもの

このほか、最近の生活様式の変化により高さが5尺8寸を超える丈長(たけなが)と呼ばれるものもあります。
なかでも2m丈の建具に合わせて、襖の高さが2mをこすものも増えています。

襖の幅による呼び方

襖は柱と柱の間の寸法(内法寸法)に入る本数によって、次のように呼ばれます。

2枚立(にまいだち) 柱と柱の間が2枚の襖で構成されるもので「引き違い」とも呼ばれます。特に1間の幅のところの入るものを間中(まなか)といいます。
4枚立(よまいだち) 柱と柱の間に4枚の襖が入るものです。内法が9尺の場合は九四(きゅうし)または9尺4枚立、2間の場合は2間4枚立または二間(にけん)、同じく2間半は2間半4枚立、または二間半(にけんはん)、3間の場合は3間4枚立または三間(さんげん)と呼ばれています。

用途別名称

間仕切り(中仕切り) 部屋と部屋とを仕切るために使われる襖。襖の両側が部屋に面するため両面に上貼りが貼られます。このため「両面」「両面貼り」とも呼ばれています。
押入れ 片側だけが部屋に面するので、片面のみ上貼り(裏は裏貼り)が用いられます。このため「片面貼り」とも呼ばれています。
天袋・地袋 床の間の脇床の上段・下段に取り付けられる小襖のことで、上段のものを天袋、下段のものを地袋と呼びます。

襖紙の素材による種類

和紙襖紙

襖紙に用いられる和紙は、伝統的な手漉き技法によるものと、機械漉きのものがあります。鳥の子については手漉きのものを「本鳥の子」機械漉きのものを「鳥の子」と区別しています。

本鳥の子

雁皮・三椏・楮などの靭皮繊維を原料にした手漉きの紙で、その色合いが鶏卵の殻の淡黄色に似ているところから鳥の子と呼ばれました。その無地の肌合いは独特の柔らかい光沢をもっています。

本鳥の子は紙料によって、特号紙(がんぴ紙)、一号紙(がんぴ+みつまた)、二号紙(みつまた)、三号紙(みつまた+パルプ)、四号紙(マニラ麻+パルプ)の種類があります。

施工に際しては、上質な鳥の子ほど紙の性質は強く、下地骨・下貼りなどには充分な配慮が必要です。

鳥の子

鳥の子は抄造機を用いて漉きます。紙料はさまざまで、雁皮・三椏・パルプを使ったものがあります。

紙の肌合いが手漉きに近いものができ、その均質さから用途によっては手漉きに近いものが出来上がります。

上新鳥の子

鳥の子の普及品で、紙は全て機械漉きのため比較的低価格で均質という特徴をもちます。

鳥の子の肌合いを生かした無地、機械漉き模様、後加工による模様付けなど、種類が豊富です。これらの特徴から一般住宅や集合住宅などによく用いられ、「上新」とも呼ばれています。

新鳥の子

襖紙の中で最も廉価で製紙から柄付けまで一貫して機械生産されています。紙は特殊な抄紙機で漉いた再生紙を用い輪転印刷機による柄付けの後、エンボス加工が施されます。

量産性と施工性の良さから公団住宅、賃貸住宅などに最も用いられています。下地の透き止めのため紙裏が茶色のものが多く「茶裏」ともよばれます。

織物襖紙

織物は伝統的に用いられた天然素材のものと、主として合成繊維を用いたものに分けられます。天然素材のものは主とした高級な無地として用いられますが、素材の性格上、合成繊維に比べて一枚ごとに織り上がりの風合いが違います。この変化が天然素材の面白さといえます。

上級織物 織物の中では高品質なもので、主としてドビー織りなど縦糸・横糸ともに糸目の詰んだ目の詰んだ織物襖紙です。施される絵柄も一枚ずつ丁寧に手加工されています。
中級織物 レーヨン糸(長繊維)等を使用し、手加工や最新の印刷技術を駆使し変化のある風合いの絵柄が好まれています。
普及品織物 レーヨン糸やスフ糸を使用し、低価格と種類の豊富さに特徴をもつ襖紙です。絵柄は輪転、オフセット、スクリーン印刷機などで加工されます。

襖の内部構造

ふすまの耐久性や機能に関係する、下地と施工方法そしてふすまの形に分けて整理します。

下地材による襖の種類

ふすまの完成品になると外見からは分かりませんが、一番大切なものはふすまの下地です。耐久性や意匠・環境面でそれぞれに特徴があります。また施工方法も違いますので当然価格も違ってきます。お選びになるときは、下地の種類を確かめておきましょう。

種類 概要 摘要
本襖 在来型の最高仕上げで、部材の大きさや下貼紙・うけ紙の施工法により多くの仕上げ方があります。 何度でも張替えが出来、本格的な最高級襖の仕上げが可能です。
組子襖 現在でも代表的なもので木製の周囲カマチと縦3本横11本の中子で障子のように組んだ骨地に、下張紙・胴張紙を張った襖下地です。

何度でも張替え可能です。そりやねじれに強く、温度湿度への適応性からも日本の気候風土にあったものといえます。

また張替えの即応性があるということからも、多く使われています。

チップボ-ル襖 簡単に組んだ組子の上に、下張紙として耐水高圧紙をホットプレス機で張り上げた襖下地です。

何度でも張替え可能です。

組子の本数が少なく、骨縛りやベタ貼りの手間がはぶけるためによく使われています。

発泡プラスチック襖 プラスチックの発泡体をベースにしてチップボール紙とアルミ箔を張った襖下地です。

関西から中部を中心に一部普及しています。襖椽は下地にはめ込み型で、ボンド付けします。

ダンボール襖と同じように張替えの点で他の襖に劣りますが、寸法詰めも自曲になるという利点もあります。

ダンボ-ル襖 量産襖の代表的な襖下地です。三~五層位の段ボール紙の芯材で一番上のダンボールの両面には、湿気防止用アルミ箔が貼られています。

張替えがしにくいという欠点がありますが、芯材を機械生産することができるためコストが安くすむという大きな特徴もあります。

関東を中心に普及。関西・中部でも見られます。襖椽は下地にはめ込み型で、ボンド付けします。

板(ベニヤ)襖 組子の上に厚めのベニヤを貼った襖下地です。片面を襖紙、片面を壁紙などが貼られた「戸襖」と呼ばれるものもあります。 他の種類の襖下地に比べ丈夫なことが特徴です。ただし、かなり重量があります。
単板襖 周囲カマチの中に横桟を15~20本入れたものを骨組とし、丸太(主としてラワン材)をむいて切り取ったごく薄い板を貼った襖下地です。

何度でも張替え可能ですが、糊付けのため骨を柱の曲りに合わせることはできず、重量感に欠けるところがあります。

中部地方特有で、全体的な供給量は少ないです。

ふすまの形

一般に利用されているふすまの他に、次のような仕様のふすまがあります。

源氏ふすま 襖の一部に採光用の障子をはめ込んだ襖をいいます。奥座敷などの暗い部屋などに採光を取り入れることが出来ます。
太鼓ふすま

縁を付けない襖のことで上下にはスリザンと呼ばれる薄い木を打ち付けます。主に茶室の茶道口や給仕口などで使われ、簡素で美しいデザインです。しかし、手が紙に直接触れるため汚れやすく、襖角が擦り切れやすいなどの欠点もあります。

透かし張太鼓といって、半透明の紙を使って、組子が透けて見えるようにすることもあり「坊主ふすま」とも呼ばれます。

倹どんふすま

上部の鴨居の溝にいったん差込み、下部の溝にはめ落とします。壁のように固定式です。「落とし込み」ともいいます。

戸ふすま

和室と洋室の間仕切りに使われます。

洋室側はベニヤの上にクロスまたは合板建材を貼ります。和室側はベニヤの上に襖紙を貼り、廻りに薄いふすま縁を貼り付けてふすまのように見せます。紙はどちらもベタ貼りします。